WHO-EMROが示すリハビリ専門職の未来:グローバル保健リーダー育成の核心とは?

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もんきち
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みなさん、こんにちは!もんきちです。

今回は、WHOが考えるリハビリ専門職について考えたいと思います。

スタッフ
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もんきち
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世界のリーダー育成の現状について学びましょう!

こんな方にオススメ!

  • マネジメント初心者の方!
  • 医療管理職の方

はじめに

グローバルヘルスの現場では、専門性とリーダーシップを兼ね備えた人材が求められています。特にリハビリ専門職におけるリーダー育成は、地域を問わず喫緊の課題です。今回焦点を当てるのは、WHO東地中海地域事務局(EMRO)が発表した中間報告。この報告は、グローバル保健におけるリーダー育成の方向性を示すものであり、日本のリハビリ分野にとっても重要な示唆を与えています。

WHO-EMRO中間報告の背景と要点

WHO-EMROは中東・北アフリカ地域(21カ国)を対象とした保健政策支援機関で、パンデミック以降、リハビリ分野の人材強化に力を入れています。
2023年発表の中間報告では、次のような目的が掲げられました:

  • 各国におけるリーダー育成の進捗と課題の可視化
  • リハビリ専門職に求められる中核的能力の標準化
  • 政策策定者・教育機関への提言

特に注目されたのが、「リハビリは専門性だけでなく、統合ケアの中核となるリーダーシップが求められる」という点です。


中間報告が明らかにした育成の課題と必要な能力

報告では、各国で共通する問題点として以下が挙げられました:

  • 教育制度の未整備:学位プログラムが不十分
  • 指導的ポジションの不在:臨床経験の豊富さ=リーダーではない
  • 医療制度との接続不足:政策決定に関与できない

これらを踏まえ、EMROではリーダーに求められる5つの能力を以下のように定義しています(要約):

  1. 戦略的意思決定力
  2. 組織マネジメントと調整力
  3. 政策・制度との接続力
  4. 教育・指導スキル
  5. 多職種連携と交渉力

これらはリハビリに限らず、あらゆる保健医療職に通底する資質といえます。


報告の示唆をもとにした今後の方向性と日本の対応例

報告書は「各国固有の社会文化的背景を考慮しつつ、国際的な共通指標を導入するべき」と提言しています。具体的には、

  • 国レベルのリーダー育成戦略の策定
  • 大学・教育機関と連携したカリキュラムの再設計
  • WHOやJICAなどによる国際研修の展開

リハビリ管理職育成プログラムとは?

目的:
リハビリテーション部門(PT・OT・ST)の現場リーダー/管理職候補に対して、臨床力だけでなく、マネジメント・教育・戦略思考・組織運営など多面的な能力を育成するための体系的プログラムです。

WHOのリーダー育成指標(特にEMRO地域の中間報告)を参考に、各国・各施設で独自に構築されつつあります。


📦 一般的な構成要素(例:日本の大学病院 × WHO推奨基準)

① 基礎研修(0〜6ヶ月目)

内容具体例
組織理解医療制度・病院の経営構造・診療報酬制度・DPC分析など
法制度・倫理医療倫理、個人情報保護法、インシデント対応
チームマネジメント上司・部下の関係性構築、1on1スキル、指導方法

② 応用研修(6ヶ月〜1年目)

内容具体例
管理会計予算管理、収益・コスト構造の把握、KPI設計など
業務設計業務効率化、業務プロセスの可視化(業務分析)
プロジェクト運営改善プロジェクトの立案→実施→評価サイクルの経験
リーダーシップ研修ロジカルシンキング、ファシリテーション、交渉術など

③ 実践型OJT+ケーススタディ(並行的に実施)

内容具体例
ケーススタディ「新人が離職しそう」「部門間の連携がうまくいかない」などの事例演習と対策立案
OJT(実地指導)実際に係長・主任クラスとしてマネジメント業務を経験し、上司がフィードバック

🎓 研修の実施形式

  • ハイブリッド型(オンライン+対面)
    • 遠隔地でも受講しやすいようWebセミナーを併用
  • eラーニング+集合研修
    • 自学+ワークショップ形式で双方向性確保
  • 評価・修了要件あり
    • 成果発表会、レポート提出、ロールプレイ試験など

💡 成果指標(例)

  • 研修後の昇進・配置転換率
  • 部署内スタッフ満足度の変化
  • 離職率の変化
  • 業務改善提案数
  • リーダーとしての360度評価結果 など

🧩 日本の導入実例(抜粋)

  • 国立病院機構・大学病院の主任研修プログラム
    • 厚労省の指導下で管理職研修を標準化。DPC・診療報酬と紐づけた指標理解も重視。
  • 地方中核病院 × 自治体連携の人材育成モデル
    • リーダー候補者を年1名ずつ選抜し、経営層と一緒に病院のビジョン策定会議に参加。
  • 大学院との連携(例:リハビリ管理職専攻コース)
    • 修士課程で管理職特化のカリキュラムを提供(医療経営、臨床教育、政策科学など)

まとめ

WHO-EMROの中間報告は、リハビリ専門職におけるリーダー育成が「現場での臨床力+政策と教育への影響力」という次元に拡張されていることを示しています。日本の現場でも、育成の枠組みを制度化し、国際的な視点で能力開発を図ることが求められています。いまこそ、「育てる文化」を国際基準と接続する時です。

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