
みなさん、こんにちは!もんきちです。
今回は、診療報酬について考えましょう。

診療報酬ってややこしい・・・

まずは、大きなポイントだけ押さえておきましょう。
こんな方にオススメ!
- マネジメント初心者の方!
- 医療管理職の方
はじめに
2025年度の診療報酬改定は、「地域包括ケアの再定義」「働き方改革」「アウトカム評価」の3軸がキーワードとなり、リハビリ部門にも大きな影響を及ぼす内容となっています。
特に、急性期から在宅までをつなぐリハビリテーションの「質」と「成果」の見える化が強く求められ、これまでの「量的評価」中心の報酬体系から、より「患者アウトカム」や「チーム連携」を重視する方向へと舵を切りました。
中医協が2025年秋にまとめた議論では、
- リハビリの標準化とAI・ICT活用の推進
- 医療・介護連携強化による地域包括的リハ提供体制
- 人材確保と働き方改革を両立する経営戦略
が焦点に挙げられています。
本記事では、2025‐26年度改定でリハビリ部門が押さえておくべき3つのポイントを整理し、経営戦略と現場実践の両面から「今、何を準備すべきか」をわかりやすく解説します。
この内容を押さえることで、単なる制度対応ではなく、「次世代リハ体制の構築」に向けた第一歩を踏み出すヒントが得られるでしょう。
アウトカムで評価されるリハビリへ:量から質への転換
2025年度改定では、中医協が明確に示した方針のひとつが「プロセス・アウトカム評価の重視」です。これまでの診療報酬体系は、「実施単位数(量)」を中心に構成されてきましたが、次期改定では「どのような成果を出したか」が問われる時代に入ります。
特に注目されているのが、回復期リハビリテーション病棟の実績指数やFIM利得の精緻化です。これにより、同じ「リハビリ量」を提供していても、患者の改善度が低ければ評価が下がる可能性があります。
また、急性期リハ領域でも「早期リハ介入加算」の新設や、「リハビリ・栄養・口腔連携体制加算」の拡充が検討されています。これらは、急性期から多職種が協働して退院・在宅を見据えた介入を行うほど評価される構造です。
📘 学術的根拠:
厚労省「入院医療等の調査・評価分科会」では、リハビリ効果を示すFIM利得や在宅復帰率が病棟の質指標として重要であると報告されています(2024年中医協資料より)。
つまり、リハ部門は“やった量”ではなく、“どのように患者の回復と地域移行を支援したか”を可視化し、チームで共有できるデータ基盤の整備が求められています。
タスクシフトと人材確保:リハ職が担う新しいチームの形
次期改定のもう一つの柱は、「人材確保とタスクシフトの推進」です。
厚労省が進める「医療従事者の働き方改革」では、医師・看護師の業務負担軽減を目的に、リハビリ専門職の役割拡大が期待されています。
たとえば、
- 理学療法士が早期離床・疼痛緩和・ポジショニングを主導し、医師の指示依存度を軽減
- 作業療法士が退院後の生活設計・環境調整を担い、退院支援チームの中心的役割に
- 言語聴覚士が口腔・嚥下リスクの早期抽出を行い、栄養士・歯科衛生士と連携
こうしたチーム構築が、加算算定だけでなく、**現場の持続可能性(ワークライフバランス)**にもつながります。
📘 学術的根拠:
日本リハビリテーション医学会による調査(2024)では、チームリハの多職種介入が退院支援成功率を有意に高めると報告。特に早期リハ介入が平均在院日数を1.5日短縮させた結果が示されています。
経営視点から見ると、タスクシフトは人件費削減策ではなく、付加価値向上策です。専門職が“価値を生む業務”に集中できるよう、明確な役割分担と評価制度の整備が急務です。
地域連携とデータ活用:退院支援から経営貢献への進化
リハビリ部門の最終的な役割は、「退院支援を起点に地域包括ケアを支えること」です。
2025改定では、「リハビリ・栄養・口腔連携体制加算」や「地域連携診療計画加算」など、地域間での情報共有とデータ連携を評価する方向が明確化されています。
たとえば、退院前カンファレンスで共有する「退院後の生活動作(IADL)」情報を、訪問リハ・ケアマネとシームレスに連携することで、再入院率低下と病床稼働率改善の両立が可能になります。
📘 学術的根拠:
国立長寿医療研究センターの調査(2023)では、退院前から地域多職種と連携したリハ支援を行うと、再入院率が18%→9%に低下したと報告。
また、データ提出加算の拡大も進んでおり、今後はリハ部門の実績を数値で示すことが「経営上の説得力」に直結します。AIによるリスク予測・在院日数予測の導入も現実味を帯びており、**“データで語るリハ部門”**が病院経営の中核を担う時代が到来しています。
まとめ|改定はチャンス。リハビリ部門が「経営貢献型」へ進化する時代へ
2025‐26年改定は、単なる報酬の増減ではなく、リハビリ部門の存在意義そのものを再定義する転換点です。
| 改定ポイント | リハ部門への影響 | 求められる対応 |
|---|---|---|
| アウトカム重視 | “質”で評価される | FIM・退院後追跡データの整備 |
| タスクシフト | チームの柔軟化 | 業務分担とスキル拡張 |
| 地域連携・DX化 | 経営貢献度の見える化 | データ提出・AI分析の活用 |
“診療報酬”は変わっても、“リハビリの本質”は変わりません。
患者の回復と生活を支える力を、「データ」「連携」「チーム」で見える化することこそ、次世代リハビリ部門の使命といえるでしょう。

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