
みなさん、こんにちは!もんきちです。
今回は、痛みや不安を抱える患者について考えましょう。

患者さんはどうしてもネガティブな発言が多くなりますよね

安心して失敗できる空気の作り方について考えてみましょう。
こんな方にオススメ!
- マネジメント初心者の方!
- 医療管理職の方
はじめに
リハビリは、体だけでなく「心のリハビリ」でもあります。
痛みや不安を抱える患者にとって、挑戦することは勇気のいる行為です。
しかし、“安心して失敗できる空気”があるだけで、人は驚くほど前に進めるのです。
心理的安全性――それは、リハビリの「怖い」を「やってみたい」に変える魔法のスイッチです。
リハビリが“怖い”と感じる心理の正体
リハビリの現場で、患者が「怖い」と感じる瞬間は少なくありません。
“痛みが再び出たらどうしよう”“転んだら恥ずかしい”“できない自分を見られたくない”――そんな恐怖が一歩を止めます。
心理学的には、これは**恐怖回避モデル(fear-avoidance model/Lethem et al., 1983)**によって説明されます。
人は痛みを「危険」と結びつけると、動かすことを避け、結果的に回復が遅れるという悪循環に陥ります。
一方で、「このチームなら失敗しても大丈夫」と思える環境では、人は再び挑戦しようとします。
つまり、恐怖を減らすには“技術”よりもまず、“安心感”が必要なのです。
それが、**心理的安全性(psychological safety)**という概念につながります。
心理的安全性がリハビリ現場の“挑戦”を変える
ハーバード大学のAmy Edmondson(1999)は、心理的安全性を「対人関係においてリスクを取っても罰せられないという共有信念」と定義しました。
この理論は企業だけでなく、医療現場にも広がっています。
リハビリにおいて、心理的安全性が高いチームでは、
- スタッフが患者の訴えを素直に受け止め、
- 患者が「痛い」「怖い」と言いやすくなり、
- その結果、適切な挑戦量を設定できるようになります。
つまり、心理的安全性は“挑戦を安全にデザインする力”です。
管理職は「結果よりもプロセスを見守る」姿勢を持ち、
スタッフは「報告・相談・共有」を遠慮なく行い、
患者は「できない自分も受け入れられる」と感じる。
この3者が揃ったとき、リハビリの挑戦は「怖い」から「やってみたい」へと変わります。
“怖くないリハビリ”を実現する3つの現場アクション
① 「痛み」を共有し、意味づけする
痛みを“敵”ではなく、“体のサイン”として扱う。
「今の痛みは、筋肉が目覚め始めている証拠ですよ」と説明することで、恐怖を「理解」に変えます。
② 「小さな成功体験」を積ませる
心理学では、小さな達成がドーパミン分泌を促し、モチベーションを維持することが知られています。
「昨日より1歩進んだね」と声をかけることが、患者の“挑戦の連続性”を支えます。
③ 「安心して失敗できる場」をつくる
リハビリには後退や停滞がつきもの。
スタッフ同士が「うまくいかなかったケース」を共有し合える文化があると、学習が早まり、患者への支援も柔軟になります。
心理的安全性の高い職場は、パフォーマンス・創造性・治療成果が向上する(Edmondson, 1999/厚労省チーム医療推進報告, 2021)。
つまり、“怖くないリハビリ”は偶然ではなく、科学的に育てられる空気なのです。
まとめ
心理的安全性とは、優しさではなく「挑戦を支える仕組み」。
リハビリチームがこの空気を育てることで、患者は新しい一歩を踏み出せる。
そしてその瞬間こそが、“リハビリが怖くなくなる”瞬間なのです。
明日、あなたの「大丈夫、そのままでいいですよ」の一言が、誰かの勇気を生むかもしれません。

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