『ミスを共有できるチームは強い』:心理的安全性が創る“失敗から学ぶ文化”の現場改革

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もんきち
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みなさん、こんにちは!もんきちです。

今回は、失敗を共有できるチームについて考えましょう。

スタッフ
スタッフ

失敗者を責めないとか?

もんきち
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“ミスをなくすこと”よりも、“ミスを活かすこと”について考えてみましょう。

こんな方にオススメ!

  • マネジメント初心者の方!
  • 医療管理職の方

はじめに

「また失敗したらどうしよう」
そんな不安が頭をよぎる職場では、誰も本当のことを言えなくなります。

リハビリの現場では、転倒・誤介助・報告漏れ――日常の小さなミスが患者の安全やチームの信頼を揺るがすこともあります。
しかし、“ミスをなくすこと”よりも、“ミスを活かすこと”こそが、成長するチームの条件です。

その鍵を握るのが「心理的安全性(Psychological Safety)」です。
本記事では、心理的安全性がいかにして「失敗を共有できるチーム」を育て、リハビリ現場の文化を変えるのかを、最新の学術的知見と実践例から紐解きます。

なぜリハビリ現場で“ミスの共有”が難しいのか

リハビリテーション現場では、患者の安全を守るために「ミスを起こしてはいけない」という強い責任感が求められます。
その一方で、**「ミスが起きたときにどう扱うか」**が、チームの成長を左右します。

現場では、転倒報告やリスク行動の共有が「叱責されるのでは」という恐れから隠されることも少なくありません。
これは、医療全体に根付く“完璧主義文化”の副作用です。
心理学者Amy Edmondson(1999)は、これを「心理的安全性(Psychological Safety)」の欠如と指摘しました。
彼女の研究では、心理的安全性が高いチームほど、エラーの報告がむしろ多く、学びの機会が増えることが示されています。
つまり、「報告が多いチーム=問題が多いチーム」ではなく、「改善が早いチーム」なのです。

厚生労働省の医療安全調査でも、報告が少ない病院ほど再発リスクが高く、事故防止策の実効性が低いことが確認されています。
リハビリ現場でもこの傾向は同様で、“ミスを共有できない環境”が最も危険なのです。


心理的安全性がもたらす“学びのチーム”のメカニズム

心理的安全性の高いチームでは、ミスが「個人の責任」ではなく「チーム全体の改善点」として扱われます。
この意識転換が、リハビリ現場に“学びの連鎖”をもたらします。

たとえば、転倒事例をチームで共有した際に、
「どうして起きたか」よりも「どうすれば次に防げるか」に焦点を当てる。
こうした前向きな議論の積み重ねが、スタッフの心理的安全性を高め、行動変容を促します。

海外の医療研究(The Lancet, 2023)では、心理的安全性を意識したチーム運営によって、
・医療エラー報告率が増加
・患者満足度が上昇
・スタッフの職務満足度が向上
する結果が示されました。

リハビリチームでも、日々のカンファレンスやミーティングでミス・気づきを共有することで、
「誰かの失敗」を「みんなの学び」に変える風土が育ちます。
この変化が、チームの底力を引き出すのです。


心理的安全性を育むリハビリマネジメントの実践

では、具体的にどうすれば心理的安全性を高められるのでしょうか?
以下の3つのステップが効果的です。

  1. 責めずに聴く文化をつくる
     ミスを報告したスタッフに「ありがとう」と言える管理者は、信頼を育てるリーダーです。
     事実確認よりも先に「報告してくれて助かる」という姿勢を示すことで、再発防止が“共有の目的”に変わります。
  2. ミスを仕組みで共有する
     定例ミーティングやリスクレポートを“学びの共有ツール”として扱いましょう。
     重要なのは「再現性のある対策をチームで考える」ことです。
  3. 振り返りと感謝を組み込む
     “反省会”ではなく“成長会”へ。
     「今回はこう学べた」「次に活かせることがある」と言語化する時間を設けることで、
     失敗がポジティブな経験に変わります。

研究(JSTAGE, 2023)でも、心理的安全性の高い職場ではスタッフの離職率が低下し、チームのパフォーマンスと患者ケアの質が向上することが報告されています。
リハビリ現場でも、“責めない文化”が結果的に“強いチーム”をつくるのです。

まとめ

ミスを恐れ、隠す職場では成長は止まります。
一方で、**「失敗を共有し、共に学ぶチーム」**には、驚くほどの成長力があります。

心理的安全性は、チームを守る“見えない安全装置”であり、
リハビリ現場を支える“学びのエンジン”でもあります。

「ミスを報告できること」は、信頼の証。
そして、それを受け止めるリーダーがいるチームこそが、患者にも安心を届けられる本当に“強いチーム”なのです。

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