急性期・回復期リハビリに波及する最新改定動向と病院経営が見直すべき体制とは

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もんきち
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みなさん、こんにちは!もんきちです。

今回は、リハビリの存在価値について考えましょう。

スタッフ
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リハビリは大切じゃないの?

もんきち
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アウトカム(結果)を示せるかどうかについて考えてみましょう

こんな方にオススメ!

  • マネジメント初心者の方!
  • 医療管理職の方

はじめに

医療制度は静かに、しかし確実に転換点を迎えています。
次期診療報酬改定では、急性期・回復期リハビリテーションの役割が再定義されつつあり、病院経営においても「リハビリの存在価値」を問い直す潮流が強まっています。

これまでリハビリは「医療の一部」であり、提供時間や単位数が評価の軸でした。
しかし今後は、患者の機能回復、地域生活定着、再入院予防といったアウトカム(結果)を示せるかどうかが、評価と経営に直結します。

本記事では、改定がリハビリに求める変化を読み解き、その波に対応するために病院経営が整えるべき体制を整理します。

最新診療報酬改定の方向性と急性期・回復期リハビリへの波及

近年の診療報酬改定では、医療提供体制の再設計が進んでいます。
特に注目されるのは、アウトカム(結果)評価の強化と、リハビリ提供時期の適正化です。

国際的にも、リハビリ介入の早期化は既にスタンダードです。英国国立医療技術評価機構(NICE)では、脳卒中発症後24〜48時間以内のリハビリ介入が有意に機能回復を促進し、患者のQOLを改善すると明記されています。
日本でも同様に、中医協や学会は急性期からの早期リハビリが退院後の生活機能維持、再入院率の低減、医療費適正化に寄与するというエビデンスを整理しています。

さらに、回復期リハビリ病棟では、在宅復帰率・FIM利得・リハビリ提供量だけでなく、退院後の生活機能維持や地域との接続が評価対象となりつつあります。

つまり、改定はリハビリを**「入院期間中のサービス」から「地域生活までを包括する医療資源」**として扱い始めています。


改定が求めるリハビリ部門の役割転換:量から質、そしてアウトカムへ

従来のリハビリは、「提供量=評価基準」とされる傾向が強いものでした。
しかし次期改定の方向性は明確です。

「どれだけ行ったか」から「どんな結果を残したか」へ。

この転換には3つの背景があります。

背景要素改定が向かう方向
① 医療費抑制と人口構造変化提供量依存モデルに限界
② 働き方改革・残業抑制生産性と成果の最適化
③ 退院後生活の重要性患者アウトカム × 地域資源連携

特に注目すべきは、退院後の機能低下(post-acute deterioration)の増加が国レベルの課題として認識され始めた点です。

研究では、急性期・回復期で機能改善しても、退院後3ヶ月以内に約30%が機能低下し、15〜20%が再入院すると報告されています。
そのため、改定の視点では、

  • 退院支援
  • 在宅リハビリとの橋渡し
  • フォローアップ体制

が必須要素となり、リハビリ部門は病院内だけで完結しない役割へ広がっています。


病院経営が今すぐ整えるべき体制:データ、組織、人材、連携モデル

改定への対応は単なる算定項目の調整では不十分です。

必要なのは、組織として成果を生み続ける体制構築です。

必要な体制内容目的
① データ収集・可視化基盤FIM、ADL、再入院率、在宅定着率を継続管理アウトカム評価の可視化
② 役割分担・ワークフロー設計急性期→回復期→在宅までのケアライン設計シームレスなリハビリ提供
③ 多職種連携モデル看護、MSW、栄養、口腔、在宅サービス退院後機能低下の予防
④ 人材設計・タスクシフト新人、認定、専門、在宅連携担当など部門の価値と継続性の確保

特に、リハビリ部門は経営資源として扱われる時代に変わりつつあります。
数字で語れない部門から、地域価値と経営価値を生む部門へ。
これこそが改定が示す方向性です。

まとめ

診療報酬改定は、リハビリ部門を量産型モデルから成果創出型モデルへ転換させる強力な外圧です。
急性期・回復期の境界は曖昧になり、退院後まで含めた一連のプロセスが評価軸となります。

だからこそ今必要なのは、

  • データで語れる部門づくり
  • 多職種・地域とつながるケアモデル
  • 人材と体制設計による再現性あるアウトカム

この3点を押さえることです。

変化は脅威ではなく、リハビリ部門が病院の価値を再定義するチャンスです。

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