
みなさん、こんにちは!もんきちです。
今回は、退院後の生活をどれだけ支えられるかについて考えましょう。

患者さんを良くすればいいんでしょ?

在宅復帰率について考えてみましょう。
こんな方にオススメ!
- マネジメント初心者の方!
- 医療管理職の方
はじめに
医療機関の評価基準は、いま大きな転換点にあります。これまで医療は「治療行為の量」で評価されてきましたが、2025年に向けて制度は「退院後の生活をどれだけ支えられるか」という価値視点へ移行しています。その象徴が在宅復帰率の評価強化です。これは単なる数字ではなく、リハビリ介入の質、退院支援、地域との連携、そして病院の経営力そのものを可視化する指標といえます。本記事では、在宅復帰率がなぜ病院経営の未来に影響するのか、そしてリハビリ部門が果たすべき役割を整理します。
なぜ在宅復帰率が病院経営の指標になるのか
医療制度は現在、**「地域包括ケアシステム」**を軸に設計されています。その中心となるのは、患者が病院から地域・在宅へ戻り、生活を継続できる仕組みです。厚生労働省は在宅復帰率を評価指標として明記し、急性期・回復期・地域包括ケア病棟すべてに指標化を進めています。
背景には、以下の構造があります:
- 高齢化に伴う慢性疾患患者の増加
- 病床の適正化政策(病床削減・役割明確化)
- 医療費抑制と生活機能回復の両立
- 退院支援・地域医療連携加算の評価強化
つまり、
病院は「治す場所」から「地域につなぐ場所」へ役割転換を求められている
ということです。
在宅復帰率が高い病院は、
✔ 患者アウトカムが良い
✔ 多職種連携が有効
✔ 退院支援が機能
✔ 地域と接続されている
という証明でもあり、
今後の経営評価・加算取得・病院評価に直結します。
在宅復帰率とリハビリ成果の関係
在宅復帰率は単なる discharge 数字ではありません。研究では以下が明らかになっています。
| エビデンス | 意味すること |
|---|---|
| 早期介入リハはADLレベル・在宅復帰率を改善する (Stroke Studies) | 遅れた介入よりも早期アプローチが機能的回復を高める |
| 多職種介入+退院計画は在宅復帰率を有意に上げる | リハ・看護・栄養・ケアマネ参加型が効果的 |
| 環境調整+家族教育を含む介入は在宅継続率を押し上げる | 訓練だけではなく生活構造介入が必要 |
つまり、リハビリの目的は機能改善だけでは不十分であり、生活継続性=生活再構築が求められます。
ここでポイントとなるのが、
FIM利得 × 支援体制 × 退院前アプローチ
の3点です。
特に、退院前訪問・福祉用具提案・家族指導は「再入院率減少」や「在宅継続率向上」に寄与し、政策的にも評価常識になりつつあります。
在宅復帰率を高めるリハビリ部門の戦略
在宅復帰率は「たまたま上がる数値」ではなく、計画された病棟運営の成果です。
成功施設には、新しい共通点があります👇
✔①退院支援とリハビリが並走
入院3日以内の:
- 生活ゴール設定
- 居宅環境を意識した訓練設計
- 家族・地域ケアマネとの早期調整
が重要です。
✔②「してあげるリハ」から「自立を創るリハ」へ
Task-oriented training、Self-management型介入、家事ADL・地域活動訓練が重要視されています。
✔③アウトカムの見える化とチーム共有
FIMだけでなく、
- 抑うつ尺度
- フレイル・サルコペニア指標
- 在宅継続率
など複数軸で評価する施設は、改善率が高い傾向があります。
まとめ
在宅復帰率の向上は、患者の生活の質を高めるだけでなく、病院の経営基盤そのものを強くします。リハビリは今、治療の延長ではなく、退院後の生活を設計する専門領域となりました。早期介入、退院支援、家族支援、多職種連携、データ活用──そのすべてが重なって初めて成果となります。
病院経営は「収益をどう作るか」ではなく、
患者の生活価値をどう高めるか
に焦点が移行しました。
そこに、リハビリ専門職の未来があります。

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