回復期リハの成果は“数値で語る時代”:FIM利得効率・在宅復帰率・重症受け入れ率とは

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もんきち
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みなさん、こんにちは!もんきちです。

今回は、退院後の生活をどれだけ支えられるかについて考えましょう。

スタッフ
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患者さんを良くすればいいんでしょ?

もんきち
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在宅復帰率について考えてみましょう。

こんな方にオススメ!

  • マネジメント初心者の方!
  • 医療管理職の方

はじめに

回復期リハビリテーション病棟では、リハビリ量だけではなく「成果」を評価される時代になりました。特に、FIM利得効率・在宅復帰率・重症受け入れ率といった数値指標は、病棟の質や改善努力を可視化する重要な指標です。本記事では、それら指標の意味と活用方法、そして改善アプローチまでを整理して解説します。

何が評価されているのか?制度背景と指標が求められる理由

回復期リハビリテーション病棟は、かつて“入院期間の長さ”や“提供リハ量”が評価の主軸でした。しかし現在は、患者アウトカムを可視化し、医療費の適正化と医療の質向上を両立させる方向に制度が変化しています。

特に診療報酬制度では、FIM(Functional Independence Measure)変化量・在宅復帰率・重症者割合と改善度などが、質を示す指標として活用されています。近年の研究では、回復期リハにおいて**FIM利得効率(FIM利得 ÷ 在院日数)**が高い病棟ほど、退院後の生活自立度が高い傾向があることが示されています(※Teasell et al., Stroke Rehab Outcome 2021)。

制度面でも、2025年度以降は「アウトカム評価の妥当性」「患者属性の適正管理」「地域医療資源との整合性」が求められ、単なるリハ提供から**“成果で語る時代”**へと変化しています。


主要指標の理解:FIM利得効率・在宅復帰率・重症受け入れ率

📌 ① FIM利得・FIM利得効率

  • FIM利得:退院時FIM − 入院時FIM
  • FIM利得効率:FIM利得 ÷ 在院日数

例:FIM利得30点、在院日数60日 → FIM利得効率=0.50
(国平均は0.30〜0.45前後とされる)

ポイント:FIM利得だけでは患者属性の差が結果に強く反映されるため、効率指標が質評価としてより有用とされる。


📌 ② 在宅復帰率

  • 自宅退院者 ÷ 全退院者×100%

在宅復帰率はリハビリの成果だけでなく、家屋評価・家族支援・地域支援体制・退院支援力が反映される指標。研究では在宅復帰率と社会的参加維持には相関があることが報告されています(※Koyama et al., JAPRM 2020)。


📌 ③ 重症者受け入れ率

重症者とは、入院時FIM55点以下などの基準で定義され、診療報酬制度では「公平な患者受け入れ体制」の指標として扱われる。

重症者受け入れ率が高い病棟は一般にFIM利得効率は低くなりやすいが、**改善率(改善割合)予測値との比較(リスク調整)**で評価する制度へのシフトが進んでいる。


どう改善するのか?指標管理と多職種連携による実装ポイント

成果指標の改善には、現場の体感ではなくデータに基づく改善行動が必要です。

改善につながる運用ポイント

改善領域実践策
評価の精度FIM評価者研修開催、評価誤差削減
リハプロセス設計目標指向型アプローチ、ICF基盤の訓練設計
早期介入急性期との接続強化、入棟即評価
退院支援退院前訪問・カンファレンス・家族教育
組織文化毎月の指標振り返り、改善PDCAの標準化

これらはすべて単独では成立せず、医師・リハスタッフ・看護・栄養・MSWがチームとして動いたときに効果を発揮します。

まとめ

評価指標は“管理される数字”ではなく、病棟運営の方向性を示すコンパスです。FIM利得効率や在宅復帰率を改善することは、単に算定基準を満たすためではなく、患者の生活に直結する価値ある改善です。これら指標を組織文化に落とし込み、改善のPDCAを回すことで、本来あるべきリハビリ医療の質を高めることができます。

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