回復期病棟の1人あたり収益構造:加算・アウトカム・在院日数から読み解く経営のリアル

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もんきち
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みなさん、こんにちは!もんきちです。

今回は、回復期の収益化構造について考えましょう。

スタッフ
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もんきち
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「1人当たり収益構造」を可視化し、収益最大化のための具体的な施策について考えてみましょう。

こんな方にオススメ!

  • マネジメント初心者の方!
  • 医療管理職の方

はじめに

回復期リハビリ病棟の経営は、「人を配置すれば収益が増える」時代から変化しています。現在は、加算取得率、アウトカム評価、在院日数最適化といったデータに基づいた運用が収益性を左右する時代です。本記事では、回復期病棟の「1人当たり収益構造」を可視化し、収益最大化のための具体的な施策と運用モデルを解説します。

回復期リハ病棟の収益構造を理解する

回復期病棟の収益は、急性期のように出来高中心ではなく、包括診療報酬制度に準じた構造で決まります。

主な収益構成要素は次の通りです。

収益要素内容影響度
①基本報酬疾患群×在院日数×入院料★★★★★
②評価に基づく加算リハ・栄養・口腔・認知ケア等★★★★
③アウトカム指標FIM利得・リハ実施量・退院先★★★★★

厚労省は2024年以降、回復期医療を成果評価に基づく支払い(Value-Based Care)へ移行させており、特にFIM利得、在宅復帰率、リハ提供量が強く評価されています。

研究でも、

「リハ提供時間が長いほどFIM利得は向上し、在宅復帰率が上昇する」
(Bernhardt et al., 2020、Cochrane Review)

と明確に示されています。

つまり、**回復期の収益=患者をどれだけ回復させられるかの“成果報酬型モデル”**と言えます。


収益の核心となる3要素


⏳① 在院日数:長すぎても短すぎても利益が減る

在院日数は収益の母体である一方、延ばしすぎると効率が低下し、退院待ち問題につながるため、最適化が必要です。

◼︎適正な目標:
👉 FIM利得/在院日数=0.3〜0.5(研究値)


📈② FIM利得:最重要指標

FIM利得は、加算取得・アウトカム評価・退院先指標と直結します。
同時に、将来の報酬体系でも中心評価軸※となることが濃厚です。

※厚労省CBT検討会資料:
リハ医療をアウトカム基準型評価へ移行する方向性が示されている。


🧾③ 加算取得率:病院間格差が最も広い領域

同じ病床・同じ患者層でも、加算取得率の違いで年間数百万単位の差が生まれます。

取得率が高い病院の特徴:

  • 多職種連携の仕組み化
  • ルールではなく“運用設計”がある
  • ICT(自動アラート・記録連携)活用

1人当たり収益を最大化する運用モデル


⚙ステップ1|KPI設計

項目目標値例
単位取得率95%以上
FIM効率0.35以上
加算取得率80%以上
在宅復帰率70–90%

🚀ステップ2|生産性向上

成功病院では、

  • セラピスト1人あたり1日18–22単位
  • 記録効率化(音声入力・ICT支援)
  • ST/OT/PT配置の戦略的運用

が共通しています。


🏥ステップ3|DXによる改善サイクル

ICT活用により、

  • 自動記録
  • 介入量可視化
  • AI評価による変化検出

が可能になり、「感覚運営→データ運営」へ移行します。

まとめ

回復期リハ病棟の収益構造は、

患者一人あたりのアウトカム(成果)
×
適正在院日数とリハ提供量
×
加算取得率とチーム連携

によって決まります。

これは単なる“算定作業”ではなく、患者のより良い回復と経営成果が一致する仕組みです。
管理職がすべきことは、現場任せではなく、収益を科学し、仕組みとして改善循環をつくることです。

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