高信頼性組織(HRO)を医療に活かす ── 仕組みで守る安全と成果の両立

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もんきち
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みなさん、こんにちは!もんきちです。

今回は、リハビリ職のキャリアについて考えましょう。

スタッフ
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キャリアは何回も取り上げてきた・・・

もんきち
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リハビリ職に求められるキャリアの道筋について考えてみましょう

こんな方にオススメ!

  • マネジメント初心者の方!
  • 医療管理職の方

はじめに|「注意します」「確認します」で、本当に安全は守れるのか

医療事故が起こるたびに、「注意不足だった」「確認が足りなかった」そんな言葉で片づけられていないでしょうか。

しかし現実には、
優秀で真面目な医療者ほど事故に巻き込まれることが、数多くの研究で示されています。

では、どうすれば

  • 忙しくても
  • 人が入れ替わっても
  • 想定外が起きても

安全と成果を両立できるのか。

その答えの一つが、**高信頼性組織(High Reliability Organization:HRO)**です。


高信頼性組織(HRO)とは何か ── 医療との親和性

■ HROの起源と特徴

HROとは、

  • 原子力発電所
  • 航空管制
  • 空母運用

など、**「失敗が許されない分野」**で研究されてきた組織理論です。

Weick & Sutcliffe(2001)は、HROの特徴を以下の5原則で整理しています。

  1. 失敗への執着(Preoccupation with Failure)
  2. 単純化を拒む(Reluctance to Simplify)
  3. 現場感覚への敏感さ(Sensitivity to Operations)
  4. 回復力の重視(Commitment to Resilience)
  5. 専門性への敬意(Deference to Expertise)

■ なぜ医療と相性がいいのか

医療現場は、

  • 不確実性が高い
  • 多職種が関与する
  • 状況が常に変化する

という点で、HROの前提条件とほぼ一致しています。

実際、HROの概念を導入した病院では、

  • 医療事故の減少
  • チーム連携の改善
  • 職員の心理的安全性向上

が報告されています(Pronovost et al., BMJ)。


HROが変える医療現場 ── 「人を責めない」安全設計

■ ミスは「防ぐ」ものではなく「織り込む」もの

HROの核心は、
「人は必ずミスをする」という前提に立つことです。

これは諦めではありません。
むしろ、現実に最も誠実な立場です。

  • ダブルチェック
  • 標準化
  • チェックリスト
  • 役割分担の明確化

これらはすべて、個人の注意力に依存しない設計です。

■ 医療における具体例

  • 手術安全チェックリスト(WHO)
    → 合併症・死亡率を有意に低下(Haynes et al., NEJM)
  • カンファレンスでの「違和感の言語化」
    → 若手の発言が事故を未然に防ぐ
  • ヒヤリ・ハットの共有文化
    → 責任追及ではなく学習へ

■ 心理的安全性との関係

HROは、心理的安全性(Edmondson)と深く結びついています。

「これ、変じゃないですか?」
と言える現場は、
事故が起きにくい現場です。


HROを医療組織に根づかせる実践ポイント

■ ポイント①:ルールを増やす前に「対話」を増やす

HROはマニュアル主義ではありません。
現場の声を拾い続ける仕組みこそが重要です。

  • 朝のショートミーティング
  • デブリーフィング
  • 振り返り文化

■ ポイント②:専門性に敬意を払う意思決定

役職ではなく、
その場で最も詳しい人の判断を尊重する。

これはリハビリ職・看護師・事務職すべてに当てはまります。

■ ポイント③:「成果」と「安全」を対立させない

HROは、安全のために効率を犠牲にしません。
安全だからこそ、成果が安定すると考えます。

  • 再入院率の低下
  • 離職率の低下
  • チーム生産性の向上

これらは、経営的にも大きな意味を持ちます。


まとめ|優秀な人材より「壊れにくい仕組み」を

医療の安全は、
「誰かが頑張ること」で守られるものではありません。

  • 疲れていても
  • 忙しくても
  • 新人でも

同じ質を出せる仕組みこそが、組織を守ります。

高信頼性組織(HRO)は、
医療者を縛る理論ではなく、
医療者を守るための思想です。

人を責める文化から、
仕組みで支える文化へ。

それが、これからの医療組織に求められる進化です。

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