
みなさん、こんにちは!もんきちです。
今回は、病院管理会計を使用した効果検証について考えたいと思います。

どれだけ効果があるのかわかりませんよね・・・

見えてないものが見えてくると、新たな気づきを与えてくれるかも!?
こんな方にオススメ!
- マネジメント初心者の方!
- 医療管理職の方
はじめに
病院経営がますます複雑化する現代において、質の高い医療と効率的な運営の両立は重要な課題です。特にリハビリ専門職が関わる診療部門では、人的リソースや時間の使い方、患者のアウトカムに直結する活動が多いため、管理会計の導入が注目されています。この記事では、「病院管理会計の効果検証:経営と質の実現に向けて」をテーマに、管理会計が実際にどのように医療の質と効率の向上に貢献しているのかを探ります。
管理会計導入の背景と目的
医療機関では従来、財務会計中心の運営が主流でした。しかし、これでは内部の業務改善や戦略的判断には不十分であることが分かってきました。特にリハビリテーション部門では、患者一人ひとりに応じたサービスを提供するため、時間やスタッフの割り振り、機器の使用状況など、詳細なコスト情報が求められます。こうした課題を受けて、部門別収益・費用の可視化や、業務別原価の算出が可能な管理会計が導入されるようになりました。
質の高い医療に向けた管理会計の効果
管理会計の導入によって、現場の意思決定がエビデンスベースで行えるようになります。例えば、治療プログラムごとの原価を可視化することで、コストに見合った医療の質が保たれているかを検証できます。また、バランスト・スコアカード(BSC)などの評価指標を活用することで、財務以外の要素(患者満足、職員満足、業務効率など)も含めた多面的な評価が可能となります。これにより、短期的な利益追求ではなく、長期的な質と効率のバランスが取れた医療サービスの提供が実現されます。
管理会計の導入は、リハビリ部門をはじめとする医療現場にさまざまな「見える化」と「行動変容」をもたらします。ここでは、実際にあった具体的な事例を紹介し、現場でどのように効果が表れたのかを説明します。
事例①:回復期リハ病棟における「単位あたり原価」の見直し
ある地方の中規模病院では、回復期リハビリテーション病棟で提供されている1単位(20分)あたりのコスト構造を管理会計で分析しました。その結果、患者の状態や介入頻度に対して人員配置が過剰な時間帯が判明。
対策として、作業療法士と理学療法士の勤務シフトを時間帯別に最適化し、業務の「重なり」と「ムダ」を削減。これにより人件費ベースで月10万円以上のコスト削減を実現しつつ、リハビリ提供単位数やFIM利得(ADL自立度改善指標)には影響を与えませんでした。
この事例では、「原価の見える化」により、効率の向上と質の維持を両立させた成功例といえます。
事例②:通所リハビリでの稼働率向上への活用
別の病院では、通所リハビリ部門の稼働率が60%を下回る状態が続いていました。管理会計を用いて「1日あたりの受入可能枠」と「平均稼働人数」を照合し、さらに曜日別・時間帯別の偏りを分析。
分析結果に基づき、送迎ルートやタイムスケジュールの見直しを行った結果、稼働率は**60%→78%**まで改善。結果として、1日あたりの収益が増加しただけでなく、スタッフの業務負担も分散され、バーンアウトの防止にも寄与しました。
このように、管理会計は「業務の最適化」のヒントを現場にもたらし、現実的な改善行動へとつなげる役割を果たします。
事例③:リハビリ部門でのKPI設定とチーム運営への応用
ある都市部の病院では、**バランスト・スコアカード(BSC)と連動したKPI(重要業績評価指標)**をリハビリ部門に設定しました。
例)
- 財務の視点:患者1人あたりの原価
- 顧客の視点:リハビリ満足度アンケート
- 業務プロセス:1日あたりの提供単位数
- 学習と成長:月1回のケースレビュー実施数
これらのKPIを月次ミーティングで可視化・共有し、改善アクションにつなげた結果、スタッフの自主的な改善提案が増加。結果として、患者満足度スコアが前年度比で12%向上しました。
リハビリ部門における実践事例と今後の展望
ある中規模病院のリハビリ部門では、管理会計の導入により、以下のような成果が確認されました。
- 作業療法と理学療法の1単位あたりの原価を分析し、業務分担を最適化
- 治療プログラムの再設計により、平均入院日数が10%短縮
- バランスト・スコアカードによる職員満足度調査を実施し、離職率が低下
今後は、デジタル技術を活用した原価データの自動収集や、リアルタイムでのモニタリング体制の整備が期待されます。また、リハビリ専門職自身が管理会計の基本知識を身につけることで、現場と経営の橋渡し役としてより大きな価値を発揮できるでしょう。
まとめ
病院における管理会計の導入は、単なる経営指標の見える化にとどまらず、質の高い医療と効率的な運営の両立に直結する重要な手段です。リハビリ部門においても、管理会計を通じて業務を定量的に把握し、戦略的に改善する流れが確実に進んでいます。今後は現場職員が会計知識を持ち、チーム医療の中で経営的視点を発揮することが、持続可能な医療提供体制の鍵となるでしょう。
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