リハビリ専門職の未来を変える『参加型リーダーシップ』:WHO最新支援フレームに学ぶ実践法

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もんきち
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みなさん、こんにちは!もんきちです。

今回は、参加型リーダーシップについて考えたいと思います。

スタッフ
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もんきち
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リーダーは指示だけでなく、共に動く!というコンセプトですね!

こんな方にオススメ!

  • マネジメント初心者の方!
  • 医療管理職の方

はじめに

現場を支えるリハビリ専門職に、いま新たなリーダー像が求められています。その名も「参加型リーダーシップ」。指示命令型から脱却し、現場の対話・協働・共創を重んじるこのスタイルは、WHOが支援する最新のリーダー育成フレームにも明示されている概念です。本記事では、その理論背景から現場実践、今後の課題までを3つの視点で整理し、リハビリ専門職にとっての新しいリーダー像を考察します。

理論:参加型リーダーシップとは何か?

● 参加型リーダーシップとは?

参加型リーダーシップとは、リーダーが指示命令型ではなく、チームの意見を積極的に引き出し、意思決定や問題解決を共に行うスタイルを指します。特に医療・リハビリ現場では、専門職同士の連携と協働が求められるため、こうした「共創型」の姿勢がリーダーに不可欠です。

従来のリーダー像が「指示を出す者」であったのに対し、参加型リーダーは「問いを投げ、場をつくる者」であるともいえます。

● WHOが示すフレームとは?

WHOは2023年以降、「ヘルスシステム強化のための人材育成支援フレーム」の中で、**participatory leadership(参加型リーダーシップ)**をリハビリ人材育成の中核に位置づけています。

“Participatory leadership is essential in building resilient rehabilitation systems – leaders should enable, not control.”

参加型リーダーシップは、レジリエントなリハビリテーション・システムの構築に不可欠である
(WHO Rehabilitation Competency Framework, 2023)

この考え方は、単なる管理職ではなく、「変化を支えるファシリテーター」としてのリーダー像を世界的に広めようとするものです。

● 学術的根拠

心理学・教育学分野では、以下の理論がベースとされています:

  • Hersey & Blanchardの「SL理論」:状況に応じてリーダーの関わり方を変える必要性を説いた理論。
  • U理論(オットー・シャーマー):共感と対話を通じて未来を創る参加型の変革理論。
  • サーバントリーダーシップ:他者に仕え、支援することを通じてチームを導く考え方。

こうした理論の融合として、WHOの参加型リーダー像が構築されています。

現場での実践:参加型リーダーの行動とスキル

● 参加型リーダーに求められる4つのスキル

  1. 傾聴力(Active Listening)
     相手の立場や感情に共感しながら聴く力。現場の課題やチームの声を把握するには不可欠です。
  2. 対話力(Dialogic Communication)
     意見の違いを認め合いながら、建設的に合意形成を進める能力。会議のファシリテーションにも直結します。
  3. 育成力(Coaching & Mentoring)
     後進に対して問いかけや振り返りを通じて、自律的な成長を促すスキル。
  4. 巻き込み力(Stakeholder Engagement)
     多職種や他部署を巻き込み、チームとして変化を生み出すためのネットワーク形成力。

これらのスキルは、WHOの「リーダーシップ能力構造モデル(2023)」にも明記されており、単なる個人スキルではなく、組織を変える力として位置づけられています。


● 現場での実践:ST/PT/OTの具体例

  • PT(理学療法士)
     他職種との連携が必要な退院支援会議で、患者の価値観や生活状況を代弁する「橋渡し役」を担う。
  • OT(作業療法士)
     ADL改善だけでなく、スタッフの業務改善提案を促進する「現場改善のファシリテーター」として機能。
  • ST(言語聴覚士)
     発語困難な患者の意図を多職種に共有する「通訳者」として、対話的関係性を支える。

● 国内外の事例

  • WHO-EMRO地域(ヨルダン・パキスタンなど)
     参加型リーダー養成の一環として、地域ごとに「リハビリ職主導の改善プロジェクト」を立案・実行。現場の自律性を重視。
  • 日本の大学病院(例:国立病院機構)
     主任~課長候補者に「対話的リーダー育成研修」を実施。ピアラーニングやロールプレイを用いて、指示命令以外の関わりを体得。

なぜ今、参加型リーダーシップが必要なのか?

● 医療の構造変化と「共創力」の必要性

医療現場は、以下のように構造的に変化しています:

  • 高齢化と疾病の複雑化 → チーム医療の必然性
  • 看護・介護・福祉との境界の曖昧化 → 横断的連携が必須
  • 働き方改革・時間外削減 → 業務の再設計と共有化

こうした中で、単独で物事を進めるリーダー像では限界があります。「現場と共に考え、共に変える」リーダーが求められているのです。


● 参加型リーダーがもたらす効果

  1. スタッフのエンゲージメント向上
     自分の意見が取り入れられることで、職員の満足度と自発性が向上。
  2. チーム力の底上げ
     権限委譲が進み、個々のメンバーの能力発揮につながる。
  3. 離職率の低下
     心理的安全性が高まり、職場定着率が上昇するという実証研究も複数存在(出典:Gallup, 2021)

● 今後の課題と提言

  • 育成機会の不足
     多くの現場で、参加型リーダーに必要なスキルを学ぶ「場」が乏しいのが現状です。
  • 評価指標の不在
     参加型リーダーの成果は見えにくく、評価制度との乖離が問題です。

→ そのため、WHOは「職能団体・教育機関・現場マネジメントの三位一体での育成支援」を提唱しています。

まとめ

参加型リーダーシップは、単なる理想論ではなく、リハビリ現場で機能する現実的な戦略です。WHOの最新支援フレームが示すとおり、チームの潜在力を引き出す力こそ、これからのリーダーに求められる資質です。リーダー自身が共に悩み、対話し、成長を支える存在であること。それが医療現場の持続的な発展に不可欠なのです。今こそ、「育て方・関わり方」を国際基準と接続するタイミングといえるでしょう。

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