
みなさん、こんにちは!もんきちです。
今回は、退院支援について考えましょう。

経営者としてどこを見たらいいの?

退院支援のあり方を、ROI(投資対効果)と地域連携の観点から考えてみましょう。
こんな方にオススメ!
- マネジメント初心者の方!
- 医療管理職の方
はじめに
病院経営において「再入院率」は、経営安定性と地域からの信頼を測る重要指標です。
近年、リハビリ部門を中心に、退院支援を経営戦略の中核に据える動きが広がっています。
本記事では、再入院を減らす退院支援のあり方を、ROI(投資対効果)と地域連携の観点から紐解きます。
再入院が病院経営に与えるインパクトとは?―データで見る現実
医療経営における「再入院率の高さ」は、単なる医療課題に留まりません。
実際には、病床稼働率・診療報酬・地域評価など、病院の経営指標全体に大きな影響を及ぼします。
厚生労働省「医療機能報告制度(2023)」によると、急性期病院における30日以内の再入院率は約13〜15%。
特に脳卒中・大腿骨骨折・慢性心不全などのリハビリ依存度が高い疾患群では、再入院率が20%を超える報告もあります。
この再入院は、医療費増大の一因であり、米国の研究では**1件の再入院にかかるコストは約13,000ドル(約190万円)**と推定されています(Jencks et al., NEJM, 2009)。
日本でも同様に、在院日数短縮が進む中で、退院後の支援不足による再入院が医療経営上のリスクとなっているのです。
つまり、再入院抑制は「患者の生活の質」だけでなく、病院経営の安定化=ROI向上に直結する経営戦略的テーマと言えます。
退院支援でROIを最大化する“仕組み設計”とは
再入院を減らすために重要なのは、「退院支援をコストではなく投資と捉える」発想です。
退院支援の質を上げることで、在宅リハビリ利用率や患者満足度、地域評価といった“見えない収益”が向上します。
✅1. 早期からの「退院前アセスメント」
多くの研究で、入院直後から退院支援を始めた患者の再入院率が有意に低いと報告されています。
入院初期から、患者の在宅環境・家族支援力・社会資源を把握することで、適切な退院後プランを構築できるのです。
✅2. リハビリ部門主導の“退院支援カンファレンス”
理学療法士や作業療法士が生活再建の専門家として早期から関与することは、退院後の転倒・廃用予防に直結します。
特に「ADL回復度」と「自己効力感(self-efficacy)」を高める介入は、再入院率を約30%減少させることが示されています。
✅3. ROIを可視化する「データ連携システム」
退院支援に費やした人件費・時間・プログラム効果を可視化することで、
“リハビリ部門の投資対効果(ROI)”を経営層に説明できる体制を整えることが重要です。
患者アウトカム(再入院率・QOL・在宅継続期間)を可視化することで、退院支援が“収益貢献事業”として認識されやすくなります。
地域連携投資が生む「再入院ゼロ戦略」―持続可能な医療経営モデルへ
再入院抑制を病院単体で完結させるのは困難です。
そのため、いま注目されているのが**「地域連携投資」**という考え方です。
地域包括ケア病棟や在宅支援診療所、訪問リハビリ事業所とデータ共有を行うことで、
患者の在宅期間を平均15%以上延長できた事例もあります(日本慢性期医療学会2023報告)。
🔸地域連携のROI
地域連携は一見「コスト増」に見えますが、
実際には、再入院減少による病床回転率向上・加算評価・地域ブランド向上をもたらします。
特に、退院後のフォローを継続的に行う「地域連携パス」は、経営と患者アウトカムを両立させる強力なツールです。
🔸デジタル連携の推進
最近では、退院支援のプロセスをICTで一元管理する動きも加速しています。
「CareNet Link」「MCS」「LIFE」などのシステムを活用し、在宅事業所と情報共有を図ることで、情報の断絶による再入院リスクを減らすことが可能です。
🔸未来への投資としての退院支援
経営視点で見れば、退院支援への投資は「短期的費用」ではなく「長期的リターン」。
地域との信頼関係は、将来的な紹介患者・共同事業・ブランド価値の向上に直結します。
これこそ、持続可能なリハビリ経営の根幹です。
まとめ
再入院を減らすための退院支援は、
単なる患者支援ではなく、医療経営における投資戦略です。
- 入院初期からの退院支援アセスメント
- リハビリ部門主導のチームアプローチ
- データで示すROI可視化と地域連携の強化
これらを実践することで、
病院は「患者の生活を支える場」から「地域とともに成長する組織」へと進化します。
退院支援の質を高めることこそが、再入院ゼロと経営の持続性を両立する未来投資なのです。

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