みなさん、こんにちは！もんきちです。
今回は、退院支援について考えましょう。
業務効率化？
職場の心理的安全性について考えてみましょう。
こんな方にオススメ！
- マネジメント初心者の方！
- 医療管理職の方
はじめに
退院支援の現場では、患者の生活再建を支える一方で、スタッフ自身の業務負担やメンタル疲弊が深刻化しています。リハビリ専門職・看護師・MSWなど多職種が関わる退院支援チームでは、「情報共有のズレ」や「責任の所在の曖昧さ」から、職場の心理的安全性が損なわれることもしばしば。結果として、患者支援の質にも影響が及びかねません。
では、どうすればチームの心理的安全性を確保しつつ、効率的に退院支援を進めることができるのでしょうか。
本記事では、リハビリ管理職が押さえておくべき「心理的安全性」と「業務効率化」を両立させる退院支援チームの作り方を、学術的な知見と現場実践の両面から解説します
「退院支援＝精神的にきつい」と感じているスタッフほど、この記事が現場の突破口になるはずです。
なぜ退院支援チームは“燃え尽きる”のか？──現場を追い詰める構造的課題
退院支援の現場は、患者・家族・医師・看護師・リハ職・ケアマネなど多職種が関わり、常に高い調整力が求められます。
しかし、その中心を担うリハビリスタッフや退院支援チームの多くが、**「時間に追われ、気づけば疲弊している」**現状にあります。
実際、退院支援担当職員の約７割が「情報共有や調整にかかる時間が負担」と回答。
その背景には、
- 退院判断が属人的で、明確な基準がない
- 多職種連携が“形式的”になりがち
- 意見を出すと「波風が立つ」と感じ、発言を控える風土
といった、構造的なコミュニケーション障害が潜んでいます。
心理学者エイミー・エドモンドソン（Edmondson, 1999）は、「心理的安全性が高いチームほど、学習と協働のパフォーマンスが高い」と報告しています。
つまり、退院支援チームの疲弊は、個人の努力不足ではなく、チーム文化の設計不足によるものなのです。
心理的安全性が生む“支援力”──失敗を共有できるチームが患者を救う
「ミスを恐れず発言できる」チームほど、患者に安全な支援を提供できる──。
これは、医療安全の分野で多くの研究に裏づけられています。
心理的安全性が高い医療チームは、エラー報告率が1.5倍、患者アウトカム改善率が2.3倍に達することが示されました。
これは単に「仲が良い」チームではなく、「意見を交わしても人間関係が壊れない環境」が整っているということです。
退院支援の現場では、「この患者は本当に在宅で大丈夫か？」「家族支援が十分か？」といった微妙な判断を共有できるかが鍵です。
心理的安全性の低いチームでは、
- 若手が意見を言えない
- 問題が先送りされる
- 結果的に退院支援が後手になる
という悪循環が起きます。
そこで効果的なのが、**「週次ミニカンファレンス＋フィードバックタイム」**の導入です。
小規模な情報共有の場を意図的に設けることで、発言のハードルを下げ、「言いやすい雰囲気」を日常的に作ることができます。
結果として、支援の精度とチームの信頼性が同時に高まるのです。
効率と安心を両立する３つの仕組み：業務設計×AI支援×チーム教育
心理的安全性が整っても、業務の仕組みが非効率では長続きしません。
ここで重要なのが、「心理的安全性 × 業務効率化」の両輪です。
以下の３つの仕組みで、チームは“燃え尽きない支援力”を身につけます。
① 明確な役割分担とタスクの見える化
退院支援の流れ（アセスメント→退院前訪問→カンファ→引き継ぎ）をフローチャート化し、担当を明確に。
これにより「誰が、どの情報を、どこまで持つか」が可視化され、責任の偏りが減ります。
② デジタルツールで時間と情報を最適化
GoogleフォームやSlack、電子カルテの連携機能を使い、リハ・看護・MSW間で情報を一元化。
AIアシストによる「退院予測リスク抽出」ツールも有効です。
実際、あるリハ病院ではAI導入後に支援計画作成時間が25％短縮したと報告されています。
③ 心理的安全性を守るマネジメント教育
リーダーが“聞く姿勢”を示すことがチーム文化を左右します。
研修やOJTで「フィードバックリテラシー」や「感情の扱い方」を学ぶことで、心理的安全性が定着します。
これら３つを回すことで、チームは「効率的に動きながら、安心して話し合える」環境へと進化します。
🏁まとめ
仕事も患者も守るのは、“安心して働けるチーム”から
退院支援は「患者を送る仕事」であると同時に、「チームが支える仕事」です。
心理的安全性を高め、業務設計を整えることで、職員のバーンアウトを防ぎ、患者支援の質を維持することができます。
これからのリハビリ管理職に求められるのは、「チームを守る仕組みを設計できる力」。
感情と効率、どちらも大切にする文化が、患者にもスタッフにも優しい退院支援を実現します。
コメント