
みなさん、こんにちは!もんきちです。
今回は、アウトカムの中身について考えましょう。

FIM利得とか?

FIM利得・効率・退院先割合について考えてみましょう。
こんな方にオススメ!
- マネジメント初心者の方!
- 医療管理職の方
はじめに
回復期リハビリテーションでは、提供した治療内容よりも、患者がどれだけ回復できたかという「成果(アウトカム)」が重視される時代に変わりつつある。中でもFIM利得・効率・退院先別割合は、医療の質を客観的に評価できる重要データであり、診療報酬や病院経営、臨床改善にも影響する指標である。本記事では、これら指標の意味や分析方法、現場での改善アプローチを体系的に解説する。
FIM利得・効率・退院先割合とは何か?意味と測る理由
FIM(Functional Independence Measure)は、回復期リハビリテーションにおける機能改善の主要なアウトカム指標である。FIM利得とは入院時と退院時のFIM差分であり、どれだけ能力回復が得られたかを示す。
一方、FIM効率(Efficiency)はFIM利得を入院日数で割った指標であり、提供した時間に対してどれだけ機能回復が得られたか、いわば「成果の生産性」を表す。
さらに、**退院先別割合(自宅、施設、療養病院等)**は回復期医療の最重要指標のひとつであり、「医療の出口」を示すアウトカムとして国内外の研究でも注目されている。
これら3つの指標は単独では解釈できず、相互に関連した指標として総合的評価に使用することが推奨されている。
データ分析の実際と解釈方法 — どこを見るか?何を読み取るか?
分析の第一歩は「現状を可視化すること」である。特に次の3軸を見ることで組織の傾向が浮き彫りになる。
🟦① 回復量の評価:FIM利得の標準化
脳卒中、大腿骨頚部骨折、廃用症候群など疾患別に平均利得を見ることで、組織の全体傾向と疾患別改善力を確認できる。
例)
- 脳卒中:平均利得 20〜30
- 大腿骨頚部骨折:10〜20
🟦② 生産性評価:FIM効率
効率は単なるスピードではなく、適切なタイミングで適切な介入が行われているかを見る指標である。
特に初期介入のタイミング・リハ体制・多職種連携が影響する。
🟦③ 回復の出口分析:退院先別割合
- 自宅復帰率
- 施設転院率
- 医療区分を伴う療養移行率
これらを疾患別・重症度別・年齢別にクロス分析すると、**「どこで支援が止まっているか」**が分かり、改善点が明確になる。
成果改善の方法と再現性を高める仕組みづくり
成果は個人の努力ではなく、組織の仕組みで再現される。改善には次のアプローチが推奨される。
🔧① データフィードバック文化の定着
- 月次スコア共有
- 組織平均 vs 個人・疾患別・チーム別の比較
- ベンチマーク(全国中央値・自院前年データ)
研究ではデータ可視化のみでもアウトカム改善効果があることが報告されている(※Harvard Healthcare Feedback Study)。
🔧② 初期介入とゴール設定の標準化
- 72時間以内のPT/OT/ST介入
- FIM項目を基にしたICF型数値ゴール設定
- パスと評価時期の固定化
🔧③ 多職種連携と退院支援の強化
退院先改善には、リハ単独よりも以下要素が強く関連する。
- カンファレンス頻度
- 訪問・外泊訓練
- 介護・在宅サービスとの引き継ぎ
これは複数研究でエビデンスが確認されている(※Stroke Rehabilitation Consensus 2019、厚労科研班報告)。
まとめ
FIM指標の活用は、「患者の回復を数字にする」手段であり、同時に「現場の改善点を示す道標」でもある。重要なのは数値そのものではなく、なぜそうなったのか、どう改善できるのかを考える文化である。
データを医療の「成果を生み続ける仕組み」に変えること、それがこれからの回復期医療の標準となる。

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