
みなさん、こんにちは!もんきちです。
今回は、目標設定について考えたいと思います。

KPIやKGIとかわからん単語が・・・

課題に対し、具体的な目標を決めることを習慣化していきましょう!
こんな方にオススメ!
- マネジメント初心者の方!
- 医療管理職の方
はじめに
リハビリ専門職の現場では、日々多くの業務が発生し、成果を可視化するのが難しいと感じることも多いのではないでしょうか。そんな中、KPI・KGIといった数値管理の手法が注目されています。本記事では、リハビリ職の業務改善に活用できる指標やその設定・運用方法について、具体的な事例を交えて解説します。
なぜKPI・KGI設定がリハビリ専門職に必要なのか
医療・介護の現場では、日々の業務が多忙であるがゆえに、どの活動が成果に直結しているのか把握しにくいのが実情です。そこで注目されているのが、KPI(重要業績評価指標)やKGI(重要目標達成指標)による数値管理です。
リハビリ専門職においては、患者のアウトカムを改善するためにも、自身の介入がどのような効果を生んでいるかを客観的に示すことが求められます。例えば、「在宅復帰率の向上」や「平均在院日数の短縮」などの指標は、業務改善の指針として非常に有効です。
また、診療報酬や介護報酬改定では、成果主義的な視点がますます強くなっています。その中でKPI・KGIの導入は、チーム医療の質を向上させ、職員の納得感を得る材料にもなります。
リハビリ現場での具体的なKPI・KGI指標
リハビリ専門職が注目すべき指標には、次のようなものがあります。
- 入院・外来数:施設の稼働状況や地域連携の指標になる
- 在宅復帰率:生活期への移行をスムーズに導くかどうかの判断材料
- 平均在院日数:効率的な介入と転院・退院支援の成果を測る
例えば、急性期病院では「入院から退院までの在院日数の短縮」が重要視され、回復期病院では「在宅復帰率」の向上がKGIとして位置づけられやすいです。外来リハや訪問リハでは、「継続率」や「ADLスコアの改善」がKPIとして設定されることもあります。
事例:急性期整形外科病院における「リハ開始までの時間」と「手術後3日以内の離床率」のKPI活用
●背景と課題感
この急性期病院では、大腿骨近位部骨折や脊椎圧迫骨折などの高齢患者が多く、術後のリハビリ開始が遅れることが再入院・ADL低下の一因となっているという課題がありました。
とくに、「リハ開始が術後2日目以降になる」「離床のタイミングが看護とリハビリでずれる」など、タイムロスによる機能低下リスクが懸念されていました。
さらに、看護部・リハビリ部・医師との情報共有の遅れも、患者の活動量低下につながっており、「急性期の役割を果たしきれていない」という危機感が生まれていました。
●KPI設定と院内の議論
多職種カンファレンスにて、次のような議論が交わされました:
- 「術後早期離床が大事なのはわかるが、現場では安全面の懸念が強く、踏み出せない」
- 「情報共有が煩雑で、PTが患者を見に行っても『まだ離床許可が出ていない』ということが多い」
- 「そもそも、何をどこまで急性期リハの目標にするのか共通認識がない」
この議論から、整形外科領域に特化した次のKPIが設定されました:
- KPI①:術後48時間以内のリハビリ開始率(目標90%)
●KPIを現場に広めた方法
整形外科病棟では、KPIを単なる数値目標として伝えるのではなく、「なぜそれが必要なのか」「誰がどの情報を共有すれば進むのか」を具体化して共有しました。
- 術前に看護師・PT・OT・医師で「離床開始計画シート」を共有し、離床目標を統一
- 電子カルテ内に「離床許可」チェックボックスを設置し、術後の情報伝達をワンタッチで完了できる体制に
- KPIの達成状況を病棟ごとに月次で集計・可視化し、ベンチマーク方式で評価
- スタッフ教育として、「離床が1日遅れると筋力低下が〇%進む」などのエビデンスも交えた啓発資料を配布
●得られた成果
取り組みから4ヶ月後、病棟・部署を超えた改善が見られました。
- リハビリ開始48時間以内の達成率向上
- 離床の早期化により、在院日数も短縮し、病床稼働率が向上
- 看護師からは「初回離床にリハが必ず関わる安心感がある」「予定を立てやすくなった」とポジティブな声が増加
- 患者家族への「離床スケジュール説明資料」も作成され、患者・家族との信頼関係も向上
この事例からも分かるように、KPIは単なる“数値の目標”ではなく、組織の動きを可視化し、共通認識を生むツールです。特に整形外科などスピードとタイミングが重要な領域では、KPIが現場の意思決定と連携を加速させる鍵となります。
実際に数値を活用する際のポイントと対策
KPI・KGIを導入したからといって、数値だけに振り回されてしまっては本末転倒です。重要なのは、「数字を使って、何を良くしたいのか」を常に意識することです。
数値を共有する際は、スタッフ間で目標の意味や背景を説明し、納得の上で運用することがカギとなります。特に現場では、見える化ツール(例:BIツール、Excelダッシュボード、ホワイトボードグラフ)を活用することで、理解度と関心を高めることが可能です。
また、「改善したい数値」と「現場の実感」にギャップがある場合は、KPIの再設定や補助指標の追加も検討しましょう。最終的には、数字の先にある患者の生活の質(QOL)や職員の働きがいを大切にする視点が求められます。
まとめ
リハビリ専門職にとって、KPI・KGIの設定は単なる数字管理ではなく、患者のQOL向上やチーム医療の質の向上につながる重要な手段です。入院数、在宅復帰率、平均在院日数といった指標を適切に活用し、現場の「見える化」を進めることで、医療の質と働きがいの両立を目指しましょう。
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