
みなさん、こんにちは!もんきちです。
今回は、患者さんへの些細な気づきが命を守ることについて考えたいと思います。

声かけだけじゃダメですか?

動きだけではなく、発言の間や表情、昨日との生活リズムの違いなど、些細なことに注意をしておくことが重要ですね。
こんな方にオススメ!
- マネジメント初心者の方!
- 医療管理職の方
はじめに
リハビリ中の患者が突然意識を失う、顔色が急変する——そんな「急変」は、誰にでも起こり得る現実です。特に高齢者や多疾患併存の患者が増える中、リハビリ専門職が急変にどう“気づき”、どう“対応”するかが、生死を分けることもあります。
本記事では、「リハビリ専門職に求められる急変時の気づきと対応力」について、現場で使える視点や工夫を3つのブロックに分けて紹介します。
なぜ急変は“想定内”と捉えるべきなのか?
急変とは突然起こるものではなく、多くの場合、事前に予兆があります。たとえば以下のようなサイン:
- リハビリ前にいつもと違う表情・口数が少ない
- バイタルサインの微妙な変化(脈の不整、血圧の変動)
- 動作時の倦怠感・発汗・ふらつき
- 発語の変化(構音不明瞭、ろれつ)
こうした変化に「いつもと違う」と気づけるかどうかが、初期対応の成否を左右します。
リハ専門職にできること:
- リハ前後のバイタルチェックを徹底
- 日々の観察を記録し、変化をチームで共有
- 「何となく変だな」を見逃さない“直感”の精度を高める
実際の急変事例から学ぶ、初動対応のリアル
【事例】リハビリ中に意識消失した高齢患者
80代男性、脳梗塞後の回復期リハビリテーション病棟で歩行訓練中のケース
この患者は、いつも通り平行棒での歩行訓練を行っていました。リハビリ専門職(PT)が付き添いながら訓練を開始し、5分ほど経過した頃、患者の動きが急に鈍くなり、「ちょっと気分が悪い」とつぶやき、その場で崩れるようにしゃがみ込みました。
初動対応の流れ
- 意識レベル確認:
→ 呼びかけに反応なし。目は開かず、発声もなし。呼吸浅く、顔面蒼白。 - 応援要請:
→ PTはすぐに大きな声で「急変です!スタッフ呼んでください!」と周囲に向けてヘルプ要請。 - 救急コール&AED準備:
→ 看護師が急行、同時にAEDを持ってくるよう別スタッフに指示。 - BLS(一次救命処置):
→ 呼吸確認後、心肺停止の可能性ありと判断し、PTとOTが交代しながら胸骨圧迫を開始。 - 医師到着・蘇生継続:
→ 医師が駆けつけ、蘇生処置を引き継ぐ。AED装着とともに、院内コードブルー対応に移行。
結果として、AEDの使用は不要で、心拍再開後に病棟へ搬送。原因は「一過性の不整脈による意識消失」と診断されましたが、素早い初動対応により後遺症もなく回復しました。
この事例からの学び
- 「何かおかしい」=即行動。
違和感を覚えたら、声かけ・意識確認・周囲へのヘルプ要請が基本。 - 訓練と情報共有が初動力を高める。
この事例では、全員が院内BLS訓練に定期参加しており、役割分担と行動の優先順位が自然にできていた。 - “1人で抱え込まない”文化が重要。
リハスタッフが1人で対応していたら時間的ロスが大きくなっていた可能性が高い。
→ 即時に声を出す・連携を呼ぶことが命を救う。
日常の「観察力」と「予防意識」が命を守る
急変対応の鍵は、日頃の観察とリスク予測にあります。
観察力を鍛えるには?
- 毎日の患者対応で「通常の状態」を知っておく
- 目だけでなく「表情・声・動き・皮膚色」など多面的に観察
- 疲労・脱水・感染徴候などにもアンテナを立てる
チームで予防意識を高める方法
- 要注意患者リストを朝の申し送りで共有
- ヒヤリハット共有会を月1回実施し、気づき力を磨く
まとめ
リハビリ専門職は、「急変に一番最初に気づける職種」です。だからこそ、観察力と初動対応力を磨くことは、リスクを減らし、患者の命を守る最大の武器になります。
日々の“何かおかしい”という違和感を大切にし、チームで共有・対応する文化を育てていきましょう。それが、安心で安全なリハビリ環境の土台になります。
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