【リハビリ管理職】データでは語れない“物語”でチームが動く ― ナラティブ・マネジメントの力

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もんきち
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みなさん、こんにちは!もんきちです。

今回は、人が動かない・心が離れていくことについて考えましょう。

スタッフ
スタッフ

難しいですよね・・・

もんきち
もんきち

「数字ではなく物語で動く組織」を実現することについて考えてみましょう。

こんな方にオススメ!

  • マネジメント初心者の方!
  • 医療管理職の方

はじめに

リハビリの現場では、日々の成果を「データ」で管理することが当然とされています。
しかし、数値がいくら整っても、人が動かない・心が離れていく――そんな現場の悩みを感じていませんか?

今、世界のマネジメント理論では「ナラティブ(物語)」を軸とした新しい組織運営が注目されています。
それは、人が“物語”によって意味づけを行い、行動を選択する存在であるという心理学・行動科学の発想に基づいています。

本記事では、リハビリ管理職が「数字ではなく物語で動く組織」を実現するための考え方と実践法を紹介します。


なぜ今、リハビリ現場にナラティブが必要なのか

これまでの医療・リハビリ業界では、「データ」「エビデンス」「アウトカム」が組織運営の軸でした。
もちろんこれは重要です。しかし、その一方で現場からは次のような声が聞かれます。

「データは良くても、現場の空気が冷えている」
「スタッフ同士のつながりが薄れ、チームワークが弱まっている」

これは数値化できない“語り”や意味の共有が失われていることの表れです。
ナラティブ・メディスンの提唱者であるリタ・チャロン(Charon, 2006)は、医療における物語の重要性を「共感的理解」と表現しました。
リハビリの現場でも、患者の回復だけでなく、スタッフ同士の共感が成果を左右する時代に変わっています。


“物語”で動く組織づくり ― ナラティブ・マネジメントの基本原理

ナラティブ・マネジメントとは、組織の中で共有される物語を通じて、人々の意味づけ・行動・関係性を変化させる手法です。
ストーリーテリング研究の権威デニング(Denning, 2001)は、「ストーリーは人を動かす最も強力なツール」と述べています。

たとえば、

  • 「患者の笑顔を取り戻した経験談」を共有することで、スタッフの使命感を再確認できる
  • 「困難を乗り越えたチームの物語」が、次の挑戦への勇気を生む

といったように、語りが行動をつくるのです。
また、Weick(1995)は組織を“意味づけのシステム”と定義し、物語の共有が組織文化の基盤になると指摘しています。

リハビリ現場では、スタッフの「日常の小さな成功体験」をチームで共有する仕組みが、ナラティブ・マネジメントの第一歩となります。


リハビリ管理職が実践できる3つのステップ

① 「数字の裏にある物語」を聴く

スタッフの報告を“評価”ではなく“傾聴”の姿勢で受け止めましょう。
「この数値の変化の背景には、どんな工夫や苦労があったのか?」と問うことで、数字に“意味”が宿ります。

② チームの“語り”を共有する仕組みをつくる

週1回のミーティングで、「今週印象に残った出来事」を1分ずつ共有するだけでも効果的です。
小さなストーリーが積み重なることで、組織全体のナラティブが形成されます。

③ 組織のビジョンを「ストーリー」として語り直す

「うちの施設が大切にしてきた患者との関わり」「地域との歩み」などを再構成し、共有しましょう。
これにより、スタッフは「なぜ自分がここで働くのか」という**内的動機づけ(intrinsic motivation)**を再認識できます。


まとめ

データは重要。しかし、人を動かすのは“物語”です。
ナラティブ・マネジメントは、リハビリ現場における「人の意味づけ」「共感」「やりがい」を再構築する新しい手法です。

リハビリ管理職こそ、データを“語り”に変換できるストーリーテラーとして、組織を導く存在であるべき時代に来ています。

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