
みなさん、こんにちは!もんきちです。
今回は、「量から質へ」について考えましょう。

質とは?

生活機能、社会復帰、自立支援という成果について考えてみましょう。
こんな方にオススメ!
- マネジメント初心者の方!
- 医療管理職の方
はじめに
診療報酬制度や医療政策の流れの中で、リハビリ医療は大きな転換点を迎えています。
かつては「何分提供したか」「どれだけリハビリを実施したか」が評価対象でしたが、現在の基準は明確に変わっています。
キーワードは――
「量から質へ」
患者のアウトカム、生活機能、社会復帰、自立支援。
これらの成果こそが、これからの医療価値の中心です。
本記事では、その背景・現場で起きている変化・組織としてどう対応すべきかを整理します。
なぜリハビリは「量から質へ」変化したのか
かつてのリハビリテーション医療は、「どれだけ多く実施したか(量)」が評価基準の中心でした。
しかし近年、医療政策は明確に方向転換しています。
理由は大きく3つあります:
- 医療費抑制と効率化の必要性
高齢化に伴い医療費は年々増加し、厚生労働省は「必要なリハビリを最適化し、成果を可視化して提供すること」を求めています。 - エビデンスに基づく医療(EBM)への転換
WHOやOECDは早期自立・社会参加・生活機能改善を重視し、量より機能回復という成果を評価する枠組みが広がっています。 - 患者価値(Value-Based Healthcare:VBHC)の重視
これは「提供側の都合」ではなく、
患者にとって意味のあるアウトカムで医療を評価する考え方です。
Porter教授(Harvard Business School)は「医療の価値 = (患者のアウトカム)÷(医療資源投入量)」と提唱し、世界標準となっています。
日本でも診療報酬改定はこの流れに沿っており、
**「提供量」ではなく「成果の質」**でリハビリが評価される時代に入っています。
質が評価される時代に必要な視点
質を評価する誤解で多いのは、
「治療の仕方を良くすれば質が上がる」という単純思考です。
本質は違います。
質とは、結果に向かうプロセス全体の整合性と再現性のことです。
評価軸は以下の3レイヤー:
| 評価項目 | 意味 |
|---|---|
| 構造(Structure) | 人員配置、環境、体制、教育、防止策 |
| 過程(Process) | 計画、目標管理、介入内容、カンファレンス、モニタリング |
| 結果(Outcome) | FIM、歩行、ADL、自宅復帰、QOL、PRO、再入院率 |
これらは**Donabedian Model(1966)**として国際医療評価の基準となっており、日本の診療報酬もこの思想に依拠しています。
特に今後重要となる軸は:
- FIM利得・効率
- 自宅・在宅復帰率
- 患者報告アウトカム(PRO:Patient-Reported Outcome)
つまり、「どれだけ改善したか」「どこまで社会に戻れたか」が問われる時代です。
質を高める組織づくり:方法と戦略
質を高めるために必要なのは「気合い」でも「経験のあるスタッフ」でもありません。
必要なのは**仕組み化された改善サイクル(Quality Improvement Cycle)**です。
ポイントは以下:
✔ データ収集の標準化
→ 記録単位の統一、測定タイミング管理、ベンチマーク設定
✔ 目標設計(Goal Setting)の明確化
→ SMART、ICF、生活課題に基づく合理的なゴール
✔ 介入・モニタリングプロセスの透明化
→ なんとなくリハビリを排除し、再現性のある治療チームにする
✔ データレビューとPDCA
→ 毎月「実績×原因×次の戦略」を可視化し、改善ループを回す
ここまでできて、やっと現場は
“量をこなす現場”から“価値を生み出す組織”へ変わる
と言えます。
まとめ
リハビリ医療が求められているのは、提供量でも経験則でもありません。
再現性のあるプロセスと、証明可能な成果です。
この転換は、負担ではなくチャンスです。
なぜなら質を高める仕組みを持った施設は――
- 選ばれる
- 結果が残る
- 経営が安定する
- スタッフが成長し続ける
からです。
量ではなく質で勝つリハビリへ。
未来の医療をつくるのは、今この変化を理解し動き出す現場です。

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