
みなさん、こんにちは!もんきちです。
今回は、「ベテラン頼み」は成長を止める構造的リスクについて考えましょう。

ベテランに頼っちゃダメなの?・・・

他産業はどのようにこの問題を乗り越えてきたのかについて考えてみましょう。
こんな方にオススメ!
- マネジメント初心者の方!
- 医療管理職の方
はじめに
「この業務は、〇〇さんじゃないと無理」
「ベテランがいなくなったら現場が回らない」
医療現場では、こうした言葉が日常的に交わされています。
ベテラン職員は経験豊富で、判断が早く、安心感があります。
しかし同時に、その存在に依存しすぎた組織は、驚くほど脆い。
他産業ではすでに、「ベテラン頼み」は成長を止める構造的リスクとして認識されています。
本記事では、
- なぜ医療だけがベテラン依存から抜け出せないのか
- 他産業はどのようにこの問題を乗り越えてきたのか
- 医療現場をどう再設計すべきか
を、学術的根拠と実践知の両面から考えていきます。
なぜ医療現場は「ベテラン頼み」から抜け出せないのか
医療のベテラン依存は、怠慢でも保守性でもありません。
むしろ合理的な選択の積み重ねによって生まれています。
背景① 高度専門職ゆえの経験重視文化
医療は不確実性が高く、
「マニュアル通りにいかない場面」が多い分野です。
そのため、
経験=安全
という価値観が強く根付きました。
背景② 善意による集中
ベテランほど責任感が強く、
- 任せるより自分でやる
- 失敗させたくない
という思いから、仕事を抱え込みがちです。
背景③ 組織設計の遅れ
多くの医療機関では、
- 業務プロセスの可視化
- 判断基準の共有
- 教育の体系化
が不十分なまま、
ベテランの経験が“非公式ルール”として機能しています。
Reason(1997)の安全理論では、
事故やミスの原因は「個人」よりも「システム」にあると示されています。
ベテラン頼みとは、
システム不在を人で補っている状態なのです。
他産業はどうやって“ベテラン依存”を克服してきたのか
医療以上に安全性・安定性が求められる産業では、
ベテラン依存は早期に限界を迎えました。
製造業:熟練を「再現可能」に変える
製造業では、
熟練工の技を以下の形で組織化してきました。
- 標準作業書
- 動作の分解
- 継続的改善(Kaizen)
Demingの品質管理理論では、
成果の大半は個人能力ではなくプロセスで決まるとされています。
「できる人を増やす」のではなく、
誰でも一定水準に到達できる設計が重視されました。
IT業界:ベテランを前提にしない構造
IT業界は人材流動性が高く、
ベテラン依存は即リスクになります。
そのため、
- ドキュメント化
- ペアレビュー
- チーム責任
が文化として根付いています。
優秀なエンジニアほど、
自分がいなくても回る設計を残します。
航空業界:経験よりもプロセスを信じる
航空業界では、
ベテランパイロットほどチェックリストを厳守します。
これは
人は必ずミスをする
という前提に立っているからです。
経験は尊重されますが、
最終的に頼るのは仕組みです。
医療現場を再設計する──ベテランの力を活かし続ける仕組み
医療において、ベテランは不要ではありません。
問題は「頼り方」です。
再設計のための5つの視点
1. ベテランを“作業者”から“設計者”へ
経験を「やり続ける」より、
言語化・構造化する役割に移行してもらう。
2. 判断の分岐点を可視化する
すべてを標準化するのではなく、
「どこで判断が必要か」を共有する。
3. 教育を属人的にしない
OJT任せではなく、
段階的・体系的な教育設計へ。
4. 管理職の役割転換
現場を助ける人ではなく、
現場が回る仕組みを作る人へ。
5. 評価制度を変える
「一人で抱えた人」ではなく、
「引き継げる形にした人」を評価する。
まとめ
ベテラン頼みは、
一時的には現場を救います。
しかし長期的には、
- ベテランを疲弊させ
- 若手の成長を止め
- 組織の未来を奪う
構造です。
他産業が示してきた答えは明確です。
経験を否定せず、仕組みに変える。
それこそが、
ベテランの価値を最も長く、最も安全に活かす方法です。
医療現場の再設計は、
「誰が頑張るか」ではなく
「どう回るか」から始まります。

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