
みなさん、こんにちは!もんきちです。
今回は、原価計算について考えたいと思います。

ワ・カ・ラ・ナ・イ

まずは、言葉の意味や雰囲気をとらえていきましょう!
こんな方にオススメ!
- マネジメント初心者の方!
- 医療管理職の方
はじめに
病院経営において「原価計算」は、持続可能な医療体制を築くための土台となる考え方です。リハビリ専門職にとっても、単に治療を提供するだけでなく、その治療がどれだけのコストを生み出し、どれだけの価値を提供しているかを理解することは、今後ますます重要になります。
本記事では、原価計算の基本的な考え方を紹介し、リハビリ現場にどのように活かせるかを具体的に解説します。
原価計算とは何か?基本の考え方を整理
原価計算とは、サービスや製品を提供する際に「どれだけコストがかかっているか」を把握するための手法です。病院経営においては、診療行為や部門ごとの活動がどれだけコストを発生させているかを数値化することが、効率的な経営判断に直結します。
よく混同される「費用」と「原価」ですが、費用は会計上の発生ベース(例:電気代など)、一方原価は「サービスや製品の生産に直接・間接的に使われた資源の消費コスト」を意味します。
さらに、原価には大きく分けて以下のような分類があります:
- 直接原価:リハビリ職員の人件費や使用した機器など、特定のサービスに直接関わるコスト
- 間接原価:受付や事務の人件費、施設の光熱費など、特定のサービスには直接結びつかないコスト
原価計算の最大の目的は、「サービスごとの採算性」を把握し、病院が持続的に運営できる仕組みを作ることにあります。
病院・リハビリ部門における原価の具体例
リハビリ部門においても、原価を考える視点は非常に重要です。以下は実際のコストの例です:
- 直接原価の例
- リハビリ専門職の人件費(時給ベースで算出)
- 物理療法機器の使用料(減価償却費を日数・時間で按分)
- 使用する備品や消耗品(テープ、バンド、紙など)
- 間接原価の例
- 病院全体の管理部門(経理、人事など)の人件費
- リハビリ室の電気代、水道代
- 清掃・警備などの共通サービス費用
例】リハビリテーション部門の1日あたりの原価計算
🏥前提条件(仮定)
- スタッフ数:常勤リハビリ職員5名(平均勤務時間:8時間/日)
- 1日あたりのリハビリ単位数:合計100単位(20分/単位)
- 1日あたりの患者数:20名
- スタッフ給与総額:月額 250万円(1人あたり月50万円)
- 出勤日数:月20日
- 部門使用面積に応じた施設維持費:1日あたり30,000円
- 機器減価償却費・消耗品費などの間接費:1日あたり10,000円
📊計算
①人件費(直接原価)
- 月250万円 ÷ 20日 = 125,000円/日
②施設維持費(間接原価)
- 30,000円/日
③機器費・消耗品費等(間接原価)
- 10,000円/日
1日あたりの総原価
- 125,000円(人件費)
- 30,000円(施設費)
- 10,000円(機器・消耗品費)
= 165,000円
1単位あたりの原価
- 165,000円 ÷ 100単位 = 1,650円/単位
📝この原価から分かること
- 1単位あたり1,650円のコストがかかっている
- 診療報酬で1単位1,750円が得られると仮定した場合、1単位あたりの純利益は 100円
- 患者数や単位数が減れば赤字になりやすい構造
🎯このデータをどう活かすか
収益性の低いサービスや対応方法の見直し
単位数を効率よく提供できているかを確認
人員配置やスケジューリングの見直しで原価削減が可能か検討
リハビリ専門職が原価計算をどう活かすか?
では、現場のリハビリ専門職が原価計算をどう活用できるのでしょうか?
まず、自分の業務がどれくらいのコストを生み出し、それが病院にとって収益としてどれほど貢献しているかを意識することが大切です。
たとえば、
- 1単位を提供するのに何分かかっているか
- その時間をどうすれば効率化できるか
- 高単価サービスとのバランスはとれているか
といった視点で日々の業務を見直すことが、結果として原価の削減や稼働率の向上につながります。
また、原価データをもとにチーム内で業務改善のミーティングを行うことも有効です。「このサービスはコストが高すぎる」「時間配分を見直そう」など、数値に基づく話し合いは納得感と具体性をもたらします。
原価に関する知識は、「経営を語れる現場スタッフ」への第一歩となります。
まとめ
原価計算は、病院経営における重要な管理会計手法であり、リハビリ専門職にとっても「収益とコストのバランス」を理解するために不可欠な知識です。
直接・間接原価の分類や1単位あたりのコスト分析を通じて、現場の改善につながる視点が得られます。リハビリ職が原価意識を持つことで、病院の持続的成長と自部門の効率化、さらに患者への質の高いサービス提供へとつながっていくでしょう。
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