「できない」と言える勇気が回復を加速させる?心理的安全性が生むリハビリの未来

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もんきち
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みなさん、こんにちは!もんきちです。

今回は、「言えない空気」について考えましょう。

スタッフ
スタッフ

「頑張ってるけど、まだ頑張らないとと考えがちですね…」

もんきち
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「安心して“できない”を言える」ことについて考えてみましょう。

こんな方にオススメ!

  • マネジメント初心者の方!
  • 医療管理職の方

はじめに

リハビリの現場では、患者もスタッフも「頑張らなきゃ」「できるようにならなきゃ」という言葉を口にします。
しかし、その“前向きさ”が時にプレッシャーとなり、「できない」と言えない空気を生んでいませんか?

実は、この「言えない空気」こそが、回復やチームの成長を妨げる最大の壁です。
今、医療・福祉業界では「心理的安全性(psychological safety)」という概念が注目されています。
それは、ミスや弱点を口にしても非難されず、互いに支え合える職場環境のこと。

心理的安全性の高いチームでは、
・患者が「怖い」「痛い」と素直に伝えられる
・スタッフが「自信がない」と言えて助けを求められる
・管理職が“叱る”ではなく“聴く”ことで信頼を育む
——そんな温かい循環が生まれます。

「安心して“できない”を言える」こと。
それは、リハビリの本質である“人の回復を支える力”を、静かに強く支える鍵なのです。

「できない」を言えることがなぜ大事か?心理的安全性の基本構造

リハビリ現場では、患者もスタッフも「できるようになりたい」「頑張らなければ」という意識が強く働きます。
しかし、その裏で「できない」「不安だ」と言いにくい空気が生まれていませんか?

心理的安全性とは、**“人がミスや不安を表明しても罰されない状態”**を意味します(Edmondson, 1999)。
この概念は、Google社のチーム研究(Project Aristotle)でも“成果を出すチームの最重要要素”として挙げられています。

医療分野でも、心理的安全性が高いチームほど医療ミスが減り、学習効率が向上することが報告されています(O’Donovan & McAuliffe, 2020)。
つまり、“できない”を安心して言えることこそが、回復のスタートラインなのです。


管理職・スタッフ・患者、それぞれの立場での“心理的安全性”とは

心理的安全性は、組織全体の文化に根ざすものです。
リハビリ現場では、次の3つの視点から考えると理解しやすいです。

①管理職目線:
叱責ではなく「問いかける姿勢」を持つこと。
「なぜできなかった?」ではなく、「どうすればうまくいくと思う?」と聞くことで、
スタッフは責められる恐怖から“共に考えるモード”に切り替わります。

②スタッフ目線:
「ここはまだ自信がない」と言える文化は、成長の土台です。
弱点を共有することが、結果的にチーム力を高める。
心理的安全性が高いチームほど、イノベーションや知識共有が活発になることも研究で示されています(Kahn, 1990)。

③患者目線:
「うまくできません」「痛くて怖い」と言える環境は、
セラピストと信頼関係を深め、挑戦への一歩を後押しします。
患者の声を否定せず、「今の気持ちを教えてくれてありがとう」と返すだけでも、安全な関係性が築かれていきます。


リハビリ現場で心理的安全性を育む具体的アクション

心理的安全性を高めるには、言葉と仕組みの両輪が大切です。

①管理職が“傾聴”の姿勢を徹底する
会議やカンファレンスで「最後まで聞く」文化を作る。
意見を遮らず、「なるほど、そう感じたんだね」と受け止めるだけで空気が変わります。

②ミス報告を“責める場”ではなく“学びの場”に変える
エラーを個人の失敗ではなく、チームの学習材料として扱う。
これにより「報告しやすさ」が向上し、再発防止の精度も高まります。

③“できなかったこと”を共有できる朝会・振り返り
成功だけでなく、挑戦の過程を称える場を作りましょう。
「昨日より1歩進めた」「今日は不安だったけど挑戦した」——
そんな言葉が出る職場は、心理的安全性の高い証拠です。

研究でも、心理的安全性が高い職場では離職率が低下し、患者満足度も向上する傾向が示されています(Edmondson & Lei, 2014)。


「安心して“できない”を言える」ことが、回復と成長の原動力

リハビリの本質は、“できるようになること”ではなく、
“できない瞬間を一緒に乗り越えること”にあります。

心理的安全性がある現場では、
患者は挑戦を恐れず、スタッフは学びを重ね、管理職は信頼でチームを動かします。

「安心してできない」と言えること——
それはリハビリを、人間的で温かい営みに変える、最大の一歩です。

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